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不動産の権利について~賃貸借編②

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不動産の権利について~賃貸借編②

不動産の権利について~賃貸借編②

2025/05/30

いつもHRECをご愛顧いただき誠に御礼申し上げます。

東山区営業担当の橘新之介です。

 

不動産の「賃貸借」に関する権利について、前回に引き続きご紹介させていただきます。

新たに大学生となられた方、大学を卒業して地元から出て遠方に勤められた方など、

一人暮らしを始める方は、大学や職場の近くにまずは賃貸物件を賃借し、住まわれている方がほとんどかと思います。

今回は後半パートとして「賃貸人・賃借人の権利義務」「賃借権の譲渡・賃借物の転貸」「敷金」などについてご説明いたします。

 

 

賃貸人および賃借人の権利義務には以下の通りあげられます。

 

・目的物の修繕

原則として賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負っています。

また、賃借人も一定の場合、修繕をすることができます。

※賃借人の責めに帰すべき事由で修繕が必要となったときは、賃貸人はその修繕をする義務を負いません。

 

↓一定の場合とは、

①修繕が必要である旨を通知した、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。

②急迫の事情があるとき。

 

 

・必要費と有益費

 

①必要費

必要費とは、目的物の現状を維持するために必要な支出をいいます。

賃貸人は原則として賃貸物の使用及び収益に必要な修繕を行う義務を負うため、必要費は賃貸人が支出すべきものですが、賃貸人が一時的にその費用を立て替えておくこともあります。

賃貸人が修繕義務を負う場面で賃借人が必要費を支出したときは、賃借人は賃貸人に対して、直ちにその費用の償還を請求することができます。(費用償還請求権)

※必要費の例

→雨漏りの修繕等

 

②有益費

有益費とは、目的物の価値を増加させるための支出をいいます。

賃借人が有益費を支出したときは、賃貸借契約の終了時に、その価値の増加分が残っていれば、賃貸人は「賃貸人が支出した金額」または「賃貸借の終了時に残存する価値の増加額」のいずれかを選択し、その額を賃借人に償還しなければなりません。

※有益費の例

→洋式トイレにウォッシュレットを付けた場合等

 

 

・原状回復義務

賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷(通常の使用によるものおよび経年劣化を除く)がある場合、賃貸借が終了したときに、その損傷につき原状回復義務を負います。

ただし、賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、原状回復義務はありません。

 

 

・賃料の減額等

賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由によって減失等により使用及び収益をすることができなくなった場合、賃料はその減失等の割合に応じて減額されます。

また、一部が減失等によって使用及び収益をすることができなくなった場合、残存する部分のみでは賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は契約の解除をすることができます。

 

 

・不動産の賃借人による妨害の停止の請求等

不動産の賃借人は、民法等による賃借権の対抗要件を備えた場合、次の請求をすることができます。

①不動産の占有を妨害している第三者に対する占有の妨害排除請求

②不動産を占有している第三者に対する返還請求

 

 

ーーー

・賃借権の譲渡・賃借物の転貸とは

賃借物の譲渡とは、賃借人が賃借権をほかの人に譲り渡すことをいいます。

また、賃借物の転貸とは、賃借人が借りているものをほかの人に又貸しすることをいいます。

 

 

・無断譲渡・無断転貸の禁止

賃借人が賃貸権の譲渡や転貸をするときは、賃貸人の承諾が必要です。

賃借人が賃借権を無断で譲渡等した場合には、原則として賃貸人は契約を解除することができます。

※賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は、賃貸人は契約を解除することができません。

 

 

・賃借権の譲渡・賃借物の転貸の効果(承諾有)

 

①賃借権の譲渡の効果

賃借人が賃借権を譲渡した場合には、譲渡人が新賃借人となります。

賃貸人と旧賃借人との関係は終了します。

 

②賃借物の転貸の効果

賃借人が賃借物を転貸した場合には、賃貸人と賃借人(転貸人)の関係は終了しません。

したがって、賃貸人は賃借人に賃料を請求することができます。

転借人は賃借人の債務の範囲を限度として直接履行する義務を負うため、賃借人が賃料を支払わない場合には、賃貸人は転借人に対して直接賃料を請求することができます。

なお、賃貸人が転借人に対して直接賃料を請求する場合には、「賃借料」と「転借料」のうちいずれか低い金額が限度となります。

 

 

・賃貸借の解除と転貸借

適法に転貸がされていた場合で、賃貸人Aと賃借人Bの賃貸借が終了した場合、賃貸人Aは転借人Cに明渡しを請求できるかどうかは、賃貸人Aと賃借人Bとの賃貸借が終了した事由によって異なります。

 

①合意による解除

賃貸人と賃借人が賃貸借契約を合意解除しても、原則として賃貸人Aは転借人Cに対抗することはできません。

→AがCに物件の明渡しの請求をすることはできない。

ただし、AがBの債務不履行による解除権を合意解除時に有していた時は、AはCに合意解除を対抗することができます。

 

②債務不履行による解除

賃借人Bの債務不履行によって賃貸借契約が解除されたときは、転借人Cは賃貸人Aに対抗することはできません。

→AがCに物件の明渡しを請求することができる。

このとき、AはCに通知等により、賃料を支払う機会を与える必要はありません。

 

 

ーーー

・敷金とは

敷金とは、賃借人が賃料を支払わなかった場合などに備えて、名目を問わず賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の担保として、賃借人が賃貸人に差し入れる金額をいいます。

敷金は預り金の属性があるため、賃借人の賃料未払い等を控除して残額があれば、賃借人に返還されます。

敷金返還債務が発生する前は、賃料の未払い等に対して敷金で充当するかどうかは賃貸人の任意であり、賃借人から「未払い分の賃料は敷金で充当してほしい」ということはできません。

 

 

・敷金の返還時期

敷金の返還は、賃貸借契約が終了し、賃貸物を返還した後、または賃借人が適法に賃借権を譲り渡した時となります。

→賃貸物の返還と敷金の返還は同時履行の関係にない

 

 

・不動産の賃貸人の変更と敷金

賃貸借の目的物が不動産であり、その賃貸借の期間中にその不動産が譲渡されたときは、その賃借人がその賃貸借の対抗要件を備えている場合、その不動産の賃貸人の地位は、原則として新賃貸人(譲受人)に移転します。

※賃貸人の地位は、一定の特約がある場合、直ちには移転しません。

また、その賃借人がその賃貸借の対抗要件を備えていない場合、譲渡人と譲受人との合意があれば、その不動産の賃貸人たる地位は、譲受人に移転します。

そして譲受人が賃貸人の地位の移転を賃借人に主張するには、その不動産について、所有権の移転の登記をする必要があります。

賃貸人の地位が譲受人に移転したときの敷金との関係は、譲受人が所有権移転の登記をした場合、敷金返還債務は自動的に譲受人に承継されます。

 

 

・賃借人の変更と敷金

賃借権の譲渡があり、賃借人が変わった場合、敷金についての権利義務は原則として新賃借人に承継されません

 

 

 

賃貸借に関する権利について、ご紹介は以上となります。

賃貸人となるオーナー様はもちろん、物件を借りられる賃借人の方々も、実際にどのような義務や責任が生じるか関心が大きいと思います。

新たに賃借人となった際に、借りた物件の写真や動画を入居時に撮影するのは、原状回復義務等の義務が発生するためであることがご理解いただけたかと思います。

また敷金の属性等についても、賃貸物件の賃貸人となられる方は参考になるかと思います。

HRECでは、不動産売却のみならず、不動産の総合コンサルタントとして賃貸物件、管理物件のご相談も承っております。

どのようなお悩み、ご相談でも承っておりますので、お気軽にご連絡下さいませ。

引き続き、ブログをご覧になっていただき、皆様の参考となれば幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

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